…* The Cause of Santa Claus 6 *…
宴も漸く終わりを迎え
子猫はとっくに寝かしつけられ
後片付けもそこそこにして
イヴの夜が更けていく。
「起きてるか」
「…あぁ」
並べて敷かれた布団の中で
瞳光らせその時を待つ。
温かな毛布の誘う眠気と
早鐘を打つ緊張とに、苛まれながら。
「ぜーったい、何があっても、死んでも、寝るんじゃねーぞ」
「分かってるって」
…そうゆうお前が、一番危ない気がするんだけどな。
それにしても。
先ほどまでの喧騒はどこへやら
怖いほどに静まり返った夜の教会。
猫も人も、皆とっくに眠りについて
物音一つしやしない。
鼓膜を掠めるものと言えば
おれの鼓動と
隣のタガーの息遣い
のみ。
静かに静かに、
息を殺して
目を凝らして
来るか分からぬその時を
待つ。
待つ。
待つ。
ひたすら、待つ。
まだまだ、待つ。
とにかく、待つ。
…ん?
「タガー?」
びくっ!
あ、耳が震えた。
「オレ、寝てないもん」
息遣いがやけに浅くなって
枕に突っ伏してると思ったら
…やっぱり、寝てた。
「寝てないもん!」
「わかったわかった」
まぁ、しょうがないか。
おれもタガーも、こんなに遅くまで起きてたのは初めてだ。
それも、何もせず、ただひたすら布団の中で待つだけなんて。
遊びながらならいざ知らず、何もしないというのは正直キツい。
寝ていない子どものところにサンタは来ないと言うから
おちおち話す事もできないし。
「寝てないかんな」
まだ言ってる。
こんなタガーを見ていると、やっぱりおれより年下なんだな、って思う。
そんなこと、本人に言ったら絶対むきになって否定するだろうけど
そうゆうところがまた、弟みたいに思えてしまう。
こうゆうときは、凄く、タガーが近くに思える。
「笑うなよ」
むくれたカオして、少し頬染め、睨みつけてくるタガー。
その隣でいつまでもいつまでも、一緒に遊んで、いたずらして、
怒られて、またバカやってたい、
そう、思った。