SIDE : V
空が
月が
大気が
緋い。
暁よりも甘やかで
黄昏よりも強烈
透き通るような紅い空に
涙が
零れそうに、
なった。
そう、
これは
こんなにもいたいけで
こんなにも危なげな
空は
見たことがないから。
きっと、夢。
ああ、
いつか
そう、いつの日か
こんな残酷な
空となら
私は / 温く / 透明な /
空の / みなもの / かいなに / 抱かれ /
ゆらゆら / ふわふわ / 寄る辺無く /
甘い波間に / 揺れながら /
視界いっぱい / 広がる空を /
花園みたいな / その空を / ただ /
見るともなく / 見つめて /
いた。 /
心中しても
構わない。
− kiss of death −
encounter : 2 / 夢幻空際
現れた
その空を内に
閉じ込めた
痩躯
紅く狂う月を
深く填め込んだ
炯眼
緋色の痕が
淡く滲み来る
朱金の双眼
…懐かしい、匂い
あなた、誰?
~next~ /
~kiss~ /
~back~