…* The Cause of Santa Claus 11 *…
「…おやおや」
何時の間にやら、膝の上で眠ってしまった妹猫を見て
マンカスは愛おしそうに苦笑を漏らした。
「おーっす」
「…タガー」
…正直、全然気付かなかった。
でもそれを悟られるのは癪だから。
「気配を消して近付くな」
「何言ってる。サンタは気配を消して近付くもんだろーが」
そう言って、ほらよ、っとプレゼントを投げてよこした。
慌ててキャッチする。
シラバブは…大丈夫、起きてない。
「珍しいな、お前からプレゼントだなんて」
「そいつは特別」
言ってどかっと腰を下ろして、シラバブの寝顔を除き込む。
「よく眠ってやがる」
「どこかの誰かと違って、サンタクロースを捕まえようだなんて
バカげたことは考えない、良い子だからな」
「どーゆー意味だよ」
「そういう意味だ」
軽口を叩き合いながらも、二匹の視線の先は一点、シラバブの寝顔。
安らかで、愛らしい、この世で一番大切と思えるもの。
それはきっと、このひねくれ猫にとっても同じこと。
そしてこの寝顔はきっと
翌朝には、輝く笑顔に変わるだろう。
「なぁ」
「ん?」
「今でもまだ、サンタクロースを物好きだと思ってるか?」
「んー…」
ポリポリと頭を掻いて、ちょっと向こうを向いて
「別に」
何気ない風を装って、タガーは答えた。
…こういう言い方をするのは、大抵は照れ隠しをしてる時。
「ふーん…」
突っ込んでもむきになって怒るだけだから。
敢えて触れずに、相槌を打っておく。
「何ニヤけてんだよ」
「別に」
にやけるつもりはないけれど。
照れ隠しをするタガーなんて滅多に見れなくて、おかしくて。
「ちぇっ」
拗ねたタガーが完全にそっぽを向いた。
再び笑いがこみ上げてくる。
「でも、まー…」
かなりの間を空けてから、タガーがぼそりと先を続けた。
「今なら、分からないでも、ない」
「…おれもだ」
fin.